リハデミック室

悩める新人セラピストへ~明日からの臨床に役立つ知識と技術~

『基礎を固める!~臨床で不可欠な戦略的臨床推論~』

主な登場人物:新人PT セイコー(以下、セ)、若手先輩PT ジシン(以下、ジ)

ジ「さぁ、セ君!ここからは臨床に直結する思考とテクニックを"じゃんじゃん"勉強していくよ!!」

セ「よろしくお願いします!」

ジ「まずは、僕たちセラピストの治療テクニックの基礎について学んでいこう。セ君は、日々の臨床でどのように治療プログラムを立案してる?」

セ「はじめに運動や動作を観察して問題点を抽出してから、次に着目した原因の評価と治療を行い、最後にもう一度、運動と動作の確認をして効果判定をするように心掛けています。」

ジ「いわゆる"トップダウン式"の理学療法ってことだよね。どうしても時間的制約のある臨床では、このプロセスで介入をするセラピストが多いのかな。」

セ「"Time Is Money."ですからね!」

ジ「たしかにね。戦略的臨床推論に基づく治療の原則として、EvaluationReleaseAlignConnectMove(Reevaluation)の順を意識すると治療が組み立てやすいと思うんだ。」

セ「急に難しくなりました…(泣)」

ジ「あ~、ごめん、ごめん!(笑)戦略的臨床推論は、患者さんのリハビリテーションを実現するための戦略(目的)と戦術(手段)の関係を明確にし、"何を?何の目的で?いつまでに行うか?"というビジョンを基に、介入方法を決定する推論(思考)なんだ。平たく言うと、まずゴール設定をして、そのゴールを達成するために"何が必要か"を調べるために評価をする。そして、予後を考え、その"予後とゴールの間のギャップ"をどう埋めるかの治療に展開していくことだよ。」

セ「なんとか頭が追いついてきました…(汗)」

ジ「次に、原則ね。Evaluation:〝運動や動作の問題抽出〟Release:〝痛みや筋性防御など、動作を阻害している影響因子を取り除き、固定的な姿勢または運動パターンから解放する(例 筋膜リリース、リラクゼーション、ロルフィングなど)〟Align:〝身体の各部位を適切な機能的配列に再配列させ、正常な感覚入力をフィードバックに基づく姿勢制御を再学習する(例 モビライゼーション、スタビライゼーションなど)〟、Connect:〝筋機能・筋活動の賦活〟、Move(Reevaluation):〝獲得した機能を運動や実用動作に反映できているかの効果判定〟という感じかな。」

セ「だいぶ分かりやすくなってきました(安堵)」

ジ「よかった(笑)まず基礎として、この原則に基づいて治療を考えるようにすることが戦略的臨床推論における有効で効率的なプラン立案の第一歩だと思うよ。」

セ「でも、具体的にどのようなことをすればいいのかが分かりません…(汗)」

ジ「じゃあ次は、特に治療テクニックに直結する"Release"と"Align"について、実技の話もしながら説明していくよ。」

セ「はい!」

*引用資料
・石井 慎一郎:リハテックリンクス株式会社 講習会・セミナー資料

 

本日のおさらい

1.評価は、ゴールの達成に何が必要かを調べるもの

2.治療は、予後とゴールの間のギャップを埋める手段

3.治療の原則が、戦略的臨床推論の第一歩