『リハビリテーションとは?』
主な登場人物:新人PT セイコー(以下、セ)、若手先輩PT ジシン(以下、ジ)
セ「先輩、リハビリテーションって一体なんなんでしょうか?」
ジ「うーん、それは僕も臨床をやっていてよく考えることなんだよね。ちなみに、セ君はリハビリテーションをどのように捉えているの?」
セ「身体になんらかの障害をもつ人々の改善を図るための機能訓練だと考えています。」
ジ「なるほどね。僕が新人の時と全く同じだね(笑)」
セ「どうしても僕たちが普段臨床で行っている理学療法を想像すると機能訓練というイメージが強くなってしまうんです...。」
ジ「その気持ちはよく分かるよ。そのイメージを払拭するために、まずはリハビリテーションの語源から確認してみようか。"rehabilitation"は、接頭辞の"re"と"habilitation"が組み合わさって成り立っていているんだ。"re"は(再び、もう一度")を意味しており、"habilitation"はラテン語の"habilis"「扱いやすい、適した」が英語の"ability"(能力)に発展したことや、ラテン語の"habito"(住居)が英語の"habitat"(住居、住まい)になったことが関連しているとされているんだよ。」
セ「そうやってもとの用語を繋ぎ合わせて考えると解釈しやすいですね!」
ジ「そうなんだ。これを直訳すると、"再び住居に適すること(能力)。すなわち、"もう一度能力を回復して社会生活に適合すること"。言い換えれば、"社会復帰・社会参加への手助け"ということになるね。」
セ「いかに自分の考えが浅はかだったかを痛感しております...(汗)」
ジ「この定義からリハビリテーションを捉えるために大切なことは、単なる身体の問題に対処するだけではなく、精神心理的、社会的、職業的、経済的な面にもアプローチしていく必要があるということだね。」
セ「それじゃあ、"今、リハビリしています"っていうよく耳にする言葉は間違った表現ですね。」
ジ「その通りだね。単にセラピストによる機能訓練をむやみに行うだけでなく、医学的な側面はもちろんのこと、社会福祉や保健の側面も重要で、"心身機能"の改善と様々な"社会資源"を活用して社会復帰・社会参加をサポートするべきってことだね。」
セ「これを意識しながら臨床に臨めば、普段の介入もより効果的なものに変わりそうですね!」
ジ「そうだね。だから、僕はリハビリテーションとは、その人"らしさ"を再獲得するために、様々な手段・資源を活用して、いろんな"選択肢"を提供することだと捉えているよ。」
セ「ということは、僕たちは理学療法という一つの"手段"を活用して、リハビリテーションに携わっているということですね。」
ジ「そういうことになるね。」
セ「先輩、リハビリテーションって奥深いですね!!」
ジ「そうだろ〜〜!!こんなに奥深いことに関わる仕事ができるなんて僕たちは幸せだな〜。」
セ「本当ですね!ありがたいことです!」
ジ「感謝の気持ちを持って、仕事に取り組む姿勢が患者さんに伝わるよう日々の臨床に臨めるといいね。」
セ「心に刻んでおきます!」
ジ「リハビリテーションの捉え方を考え直したしたところで、次は、僕たちが手段として活用する理学療法とは何かについても復習しておこうか。」
セ「はい!」
*引用文献
・椿原 彰夫(編):PT・OT・ST・ナースを目指す人のためのリハビリテーション総論 改定第2版,診断と治療社.
・本日のおさらい
1.リハビリテーションは、単なる機能訓練ではない
2.リハビリテーションは、その人らしさを再獲得するための過程
3.様々な手段・資源を活用して、たくさんの可能性や選択肢を引き出す